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台風が来たとラジオはさっきから、ずっといっている。大風なのに、なぜ台風なのだろう。でも大風は台風のほうが、なんだかすっと入ってくる。
台風がくると、僕は家族を思い出す。幼稚園に通っていた頃の家族。おじいちゃん、若いばあちゃん、年寄りのばあちゃん、母、父、いもうと、さっちゃん、きみよちゃん、きよみちゃん、ぼく。大家族が台風にそなえて、みんな家の中で、静かに、ひっそり、言葉少なく、暗い場所で大風が過ぎるのをやり過ごす。二階から、いつ止むとも知れぬ風と雨を眺めている僕はまだ5歳くらいだったはずだ。なんだか、みなが静かに人生をやりすごす、哲学者のような台風の日をいまでも思い出すのは、台風のおかげでもあるのである。
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